Hyperledger Sawtooth(PoET)
Intel SGX を活用した PoET コンセンサスと並列トランザクション実行で知られる LFDT の許可型ブロックチェーン。2024〜2025 年頃に LFDT でアーカイブ(開発終了)となった歴史的プロジェクト。
article technology ja Intel SGX を活用した PoET コンセンサスと並列トランザクション実行で知られる LFDT の許可型ブロックチェーン。2024〜2025 年頃に LFDT でアーカイブ(開発終了)となった歴史的プロジェクト。Hyperledger Sawtooth(PoET)
Hyperledger Sawtooth は Intel が開発・寄贈した許可型 (permissioned) 分散台帳フレームワークで、PoET(Proof of Elapsed Time) コンセンサスと並列トランザクション実行を主な特徴とした。重要: Sawtooth は 2024〜2025 年頃に LF Decentralized Trust (LFDT) においてアーカイブ(開発終了)となった歴史的プロジェクトであり、新規採用は推奨されない。 情報カットオフ ~2025-08 のため、正確なアーカイブ日付は要確認。
アーカイブ(開発終了)の背景
LFDT は活発に貢献者が集まらなくなったプロジェクトをアーカイブする方針を持つ。Sawtooth は PoET の Intel SGX 依存(特定ハードウェア必須)と Fabric 等の成熟により採用が広がらず、2024〜2025 年頃にアーカイブへ移行したとされる(情報カットオフ ~2025-08 のため正確な時期は要確認)。既存の本番環境を運用しているユーザーは Fabric への移行を検討することが推奨される。
PoET(Proof of Elapsed Time)コンセンサス
Sawtooth の中核技術は PoETで、Intel SGX(Software Guard Extensions)のセキュア実行環境 (TEE) を利用した低コストなリーダー選出を実現した。
- ランダムな「待機時間」を SGX 内で生成し、最初に満了したノードがリーダー(ブロック生成権)を獲得
- 宝くじ方式 (lottery-based) のため公平性が高く、PoW のような大量計算が不要
- PoET 2.0(SGX PoET): 真正な TEE 環境でのみ動作。ハードウェア SGX が必須。
- PoET CFT(Consensus Failure Tolerant): SGX 不要のシミュレータ版(テスト用)
PoET の欠点は SGX 対応ハードウェアへの依存で、汎用クラウドや仮想環境での利用が制限された。
Transaction Families(トランザクションファミリー)
Sawtooth ではスマートコントラクトに相当する概念を Transaction Family (TF) と呼ぶ。
- TF はトランザクションの構造・処理ロジック・許可ルールを定義する独立したモジュール
- 複数の TF を組み合わせてアプリケーションを構築(例: IntegerKey / Smallbank / Supply Chain)
- Seth(Sawtooth Ethereum): EVM を TF として統合し、Ethereum のスマートコントラクトを実行可能にした実験的拡張
グローバルステートと Merkle-Radix ツリー
Sawtooth のワールドステートは Merkle-Radix ツリー (Patricia Merkle Trie 類似) で管理される。
- 各 TF はアドレス空間(6 バイト namespace prefix)を持ち、ステートを書き込む
- ルートハッシュはブロックヘッダーに記録され、状態の整合性を暗号的に証明
- LevelDB / PostgreSQL など複数バックエンドをサポート
並列トランザクション実行
Sawtooth は Parallel Scheduler をサポートし、依存関係のないトランザクションを並列実行してスループットを向上させた。Fabric の EOV とは異なり、スケジューラーがリードセット・ライトセットを解析してコンフリクトを検出し逐次実行するトランザクションを最小化する。
採用事例と歴史的意義
Sawtooth は商業採用こそ限定的だったが、技術的な実験的価値は高かった。
- Sawtooth Lake (Intel オープンソース) → Hyperledger 寄贈(2016 年)
- T-Mobile / Chronicled: サプライチェーン管理の PoC
- Intel Platform Trust Technology: IoT + ブロックチェーン統合の実証
PoET コンセンサスの概念(TEE を用いたランダムリーダー選出)は、後続の他プロジェクトのアイデアの参照点となった。
他 Hyperledger プロジェクトとの比較
| 比較項目 | Sawtooth | Fabric |
|---|---|---|
| コンセンサス | PoET (SGX) / PoET CFT | Raft / BFT |
| スマートコントラクト | Transaction Family | Chaincode (Go/Node/Java) |
| プライバシー | なし(全ノード公開) | チャネル / PDC |
| 現状 | アーカイブ済み | アクティブ |
| 依存ハードウェア | Intel SGX(PoET のみ) | なし |
現在 Hyperledger エコシステムで新規プロジェクトを検討する場合は Fabric または Besu(EVM 互換)が推奨される(情報カットオフ ~2025-08 時点)。
Backlinks
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