火力発電(石炭・LNG・石油)

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Created: 2026-06-07 Updated:

石炭(USC/IGCC)・LNG(GTCC 効率 〜64%)・石油の火力発電と、コジェネ・アンモニア混焼(JERA 碧南 20% 実証)・水素混焼による脱炭素化技術を解説。調整電源としての役割と座礁資産リスクも整理する。

火力発電(石炭・LNG・石油)

火力発電は化石燃料(石炭・天然ガス/LNG・石油)を燃焼して熱エネルギーを得、タービン発電機で電力に変換する方式の総称であり、2024 年時点で日本の電力の約 7 割を担う基幹電源だ。短期的な出力調整が容易で系統安定に貢献する「調整電源」としての役割が大きい一方、CO2 排出の主要因として脱炭素課題の中心にある。本記事では燃料種別の技術・性能・コスト・排出特性と、将来の脱炭素技術を解説する。情報カットオフ 〜2025-08(一部 2026-06 WebSearch 反映)、confidence: medium 固定。

石炭火力(USC・IGCC)

石炭火力は石炭を燃焼して蒸気を生成しタービンを回す方式で、燃料コストが低いためベースロード電源として世界中で使われてきた。日本では高効率化技術の導入が進んでいる。

**USC(Ultra Super Critical / 超臨界圧)**は蒸気温度 600℃以上・蒸気圧力 25 MPa 超の高温高圧条件で運転する石炭火力で、熱効率は 42〜46%(LHV 基準)。従来型の亜臨界圧(効率 〜38%)や超臨界圧(SC、〜40%)より CO2 排出量を 10〜15% 程度削減できる。日本の主力石炭新設設備は大半が USC 以上の規格だ。

**A-USC(Advanced USC)**はさらに蒸気温度 700℃以上を目指す次世代仕様で、熱効率 50% 超を見込む。耐熱合金材料の開発が技術課題。

IGCC(Integrated Gasification Combined Cycle / 石炭ガス化複合発電)は石炭をガス化(一酸化炭素・水素の合成ガスに変換)してガスタービンと蒸気タービンのコンバインドサイクルで発電する方式。熱効率は 46〜50% 程度。IGCC に CO2 回収装置を組み合わせたIGCC-CCS は高効率・低炭素の将来技術として国内で実証研究が進んでいる。

石炭火力のCO2 排出原単位は約 800〜1,000 g-CO2/kWh と化石燃料の中で最も高く、脱炭素政策との整合が課題。国際的な脱石炭の流れ(欧州・G7 の段階的廃止宣言)の中で、座礁資産化リスクが意識されている。

LNG(天然ガス)火力・GTCC

LNG(液化天然ガス)火力は天然ガスを燃焼してタービンを回す方式で、石炭比 CO2 排出量が約 50% 少なく(約 400〜500 g-CO2/kWh)、起動停止が速い(〜15 分以内)ため調整電源として優れる。日本の電力の最大単一燃料源であり、JERA・電源開発・旧一般電気事業者が大型設備を保有する。

**GTCC(Gas Turbine Combined Cycle / ガス・蒸気複合サイクル)**は、ガスタービンの排熱で蒸気を生成し蒸気タービンも回す二段発電方式で、熱効率は 55〜64%(LHV 基準)に達する。最新鋭の J 型ガスタービン(三菱重工)は 64% 超の発電効率を実現しており、火力発電の中で最も高い熱効率を誇る。GTCC は出力調整能力も高く、再エネ変動のバランシング電源として重要性が増している。

**OCGT(Open Cycle Gas Turbine / 単純ガスタービン)**はガスタービン単体で発電する方式。熱効率は 35〜42% と低いが、起動が極めて速く(〜5 分)、緊急時のピーク対応電源として機能する。

石油火力

石油(重油・原油)火力は燃料コストが高く CO2 排出も大きいため(500〜600 g-CO2/kWh 程度)、経済性・環境性の両面で不利。日本では沖縄や離島など系統孤立地域でのベース電源として維持されている他、本土では非常用・バックアップ電源として残存する。

コジェネレーション(熱電併給)

**コジェネ(Cogeneration / Combined Heat and Power: CHP)は発電と同時に排熱を回収して熱利用する方式で、電力のみを生成する場合の効率(35〜45%)に対し、熱も活用することで総合エネルギー効率 75〜85%**を実現できる。

LNG を燃料とするコジェネが主流で、規模に応じてガスタービン(数 MW〜数百 MW)・ガスエンジン(数十 kW〜数 MW)・燃料電池(数 kW〜数百 kW)が使い分けられる。病院・ホテル・工場・データセンター・地域熱供給など熱需要が安定した施設での導入が多い。

アンモニア混焼・水素混焼による脱炭素化

アンモニア混焼は石炭火力の燃料の一部をアンモニア(NH3)に置き換える技術。アンモニアは燃焼時に CO2 を排出しないため(燃焼生成物は N2 と H2O)、既存インフラを活用しながら CO2 排出を削減できる。

**JERA 碧南火力発電所(愛知県)**では 2023〜2024 年に石炭との 20% アンモニア混焼試験を実施し、CO2 削減効果を実証した。JERA は 2030 年代に 20% 混焼の商業運転開始、2040 年代に 50% 以上へ移行する目標を掲げる。課題は NOx(窒素酸化物)の増加抑制と、アンモニアの安定調達・輸送インフラ整備。

水素混焼は LNG 火力(GTCC 等)の燃料の一部を水素に置き換える技術。既存ガスタービンへの水素混焼(30〜50%)は技術的には可能で、将来的な専焼(100% 水素)に向けた開発が進む。川崎重工・三菱重工が国内実証をリードしている。グリーン水素のコストダウンが実用化の鍵。

座礁資産リスクと調整電源の役割

石炭火力・老朽化 LNG 火力は「座礁資産(Stranded Asset)」リスクにさらされている。脱炭素規制の強化や炭素コスト(カーボンプライシング)の上昇により、設備の経済的耐用年数が物理的寿命よりも先に終わる可能性がある。特に石炭火力は国際資本市場からの ESG 投融資規制の対象となりやすく、資金調達コストが上昇する傾向にある。

一方で火力発電は、出力を分・時間単位で精密制御できる特性から、再エネの変動を吸収する調整電源として当面は不可欠だ。特に大型 GTCC は「安定供給のラストリゾート」として残存する計画であり、アンモニア・水素混焼・CCUS(炭素回収・貯留)との組み合わせで脱炭素化しつつ活用し続けるのが第 7 次エネルギー基本計画の立場だ。

情報カットオフ 〜2025-08(一部 2026-06 WebSearch 反映)、confidence: medium 固定。

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