物質の性質

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Created: 2026-06-10 Updated:

物質の電気的性質の基礎。導体(銅・銀)・絶縁体(ガラス・ゴム)・半導体(シリコン・ゲルマニウム)の分類と抵抗率の比較、半導体の外部条件(電圧・温度・光)依存性を解説する。

物質の電気的性質 — 導体・絶縁体・半導体・抵抗率

物質が電気をどれほど通すかは、その材料を選ぶ上で最も基本的な物理特性の一つだ。電気が「流れる物質」と「流れない物質」の違いは、物質内部での電子の動きやすさによって決まる。導体・絶縁体・半導体の 3 分類と、これを定量化する抵抗率(resistivity)の理解は、電気工学・電子工学・材料科学の共通基盤となる。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

電気伝導の基本:自由電子と抵抗率

物質中で電流が流れるためには、電荷キャリア(多くは電子)が外部電場に応じて動ける必要がある。この動きやすさを物質固有の値として表したものが**抵抗率(resistivity)**ρ(ρ: ロー)だ。

R = ρ · L / A
  • R: 電気抵抗(Ω: オーム)
  • ρ: 抵抗率(Ω·m)
  • L: 導体の長さ(m)
  • A: 断面積(m²)

抵抗率が小さいほど電気が流れやすい(低抵抗)。抵抗率の逆数を電気伝導率(conductivity) σ = 1/ρ と呼ぶ(単位: S/m = Ω⁻¹·m⁻¹)。

導体(Conductor)

導体は電気を通しやすい物質であり、抵抗率が非常に小さい(〜10⁻⁸ Ω·m 程度)。

なぜ電気が流れやすいか:金属では原子が結晶格子を形成し、最外殻電子(価電子)が特定の原子に束縛されず「自由電子」として金属内を自由に動き回ることができる。外部電場を加えると自由電子が一方向に移動し、電流が流れる。

物質抵抗率(Ω·m)(20°C)特徴
銀(Ag)1.6×10⁻⁸導電性最高だが高価
銅(Cu)1.7×10⁻⁸電線・配線の標準材料(コストと性能のバランス)
金(Au)2.4×10⁻⁸耐腐食性優秀・IC 接続端子
アルミニウム(Al)2.8×10⁻⁸軽量・送電線に使用
タングステン(W)5.5×10⁻⁸高融点・電球フィラメント
ニクロム1.1×10⁻⁶高抵抗導体・電熱線

温度依存性:金属は温度が上がると抵抗率が増加する(熱振動で電子が散乱されやすくなるため)。一方、超伝導体は臨界温度以下で抵抗率が完全にゼロになる。

絶縁体(Insulator)

絶縁体は電気をほとんど通さない物質であり、抵抗率が非常に大きい(〜10¹⁰〜10¹⁶ Ω·m 程度)。

なぜ電気が流れないか:絶縁体では価電子が原子(または共有結合)に強く束縛されており、自由電子がほとんど存在しない。外部電場を加えても電子が動けないため、電流が流れない。

物質抵抗率(Ω·m)典型用途
ガラス(fused silica)〜10¹⁰〜10¹⁴光ファイバー・窓ガラス
プラスチック(PVC)〜10¹³〜10¹⁵電線の被覆材
ゴム(天然)〜10¹³〜10¹⁵電気工事用手袋・タイヤ
空気(乾燥)〜10¹³〜10¹⁶送電線間の間隔絶縁
純水(蒸留水)〜10⁵〜10⁷不純物を含まない純水は絶縁体

絶縁体は電圧が一定値(絶縁破壊電圧)を超えると急激に電流が流れ始める(絶縁破壊・放電)。空気の絶縁破壊電界強度は約 3×10⁶ V/m(3 MV/m)。

半導体(Semiconductor)

半導体は導体と絶縁体の中間的な性質を持つ物質であり、外部条件(電圧・温度・光・不純物添加)によって導電性が大きく変化する。この特性がトランジスタ・集積回路の動作原理の基礎となる。

物質抵抗率(Ω·m)(室温)特徴
シリコン(Si)〜10²〜10³最も広く使われる半導体材料(IC・太陽電池)
ゲルマニウム(Ge)〜4×10⁻¹初期トランジスタに使用。低バンドギャップ
ガリウムヒ素(GaAs)〜10⁻⁷〜10⁸高速デバイス・LED・化合物半導体
シリコンカーバイド(SiC)〜数 Ω·m(純品)パワーデバイス・高温動作

半導体の導電性が変化する条件

  1. 温度:温度が上がると熱エネルギーにより電子が価電子帯から伝導帯に励起される。半導体は温度上昇とともに抵抗率が低下する(金属とは逆の傾向)。
  2. :光子(フォトン)を吸収すると電子が励起され、光伝導(フォトコンダクタンス)が起きる。太陽電池・光センサの原理。
  3. 電圧(電場):外部電場によって電子・正孔の移動が制御される。MOSFET(電界効果トランジスタ)の動作原理。
  4. 不純物添加(ドーピング):意図的に不純物(ドーパント)を添加することで、自由電子(n 型)または正孔(p 型)を増やし、導電性を精密制御できる。

不純物半導体(ドープ半導体)

  • n 型半導体:電子を多く持つ元素(例: シリコンに リン P を添加)を加えると、余剰の自由電子が生まれる(n: negative = 負電荷キャリア多数)。
  • p 型半導体:電子が少ない元素(例: シリコンに ホウ素 B を添加)を加えると、正孔(hole)が多く生まれる(p: positive = 正電荷キャリア多数)。

n 型と p 型を接合した構造が pn 接合であり、ダイオード・トランジスタ・太陽電池の基本構造となる。半導体デバイスの詳細(MOSFET・CMOS・集積回路)は半導体ブランチで扱う。

バンドギャップと物質分類

固体物理の観点からは、導体・絶縁体・半導体の分類は**バンドギャップ(禁制帯幅)**の大きさで説明できる。

分類バンドギャップ
導体(金属)0 eV(価電子帯と伝導帯が重なる)銅・鉄・アルミニウム
半導体0.1〜3 eV 程度Si(1.1 eV)・GaAs(1.4 eV)・SiC(3.3 eV)
絶縁体5〜10 eV 以上ガラス(〜9 eV)・ダイヤモンド(5.5 eV)

電子が価電子帯から伝導帯へ移るために必要なエネルギー(バンドギャップ)が大きいほど電気を通しにくい。半導体のバンドギャップは熱・光・電場などで電子が励起できる程度の大きさであるため、外部条件で導電性が制御できる。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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