Hedera(ヘデラ)
Hashgraph アルゴリズム(aBFT / gossip-about-gossip + 仮想投票)を採用したエンタープライズ向け分散台帳。ガバニング評議会(大企業 39 社)・HTS・HCS・EVM 互換・HBAR を解説。
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Hedera は、Leemon Baird が発明した Hashgraph アルゴリズムを基盤とするパブリック分散台帳である。Hedera Hashgraph LLC(後に Hedera Council が統治)が開発を主導し、大企業で構成される ガバニング評議会 によるエンタープライズガバナンスが特徴である。ブロックチェーンではなく DAG(有向非巡回グラフ)ベースのデータ構造を採用し、aBFT(非同期 Byzantine Fault Tolerance)コンセンサスを実現する。情報カットオフ ~2025-08、confidence: medium 固定(2026-06 時点での外部再検証は未実施)。
Hashgraph コンセンサス(aBFT)
Hashgraph コンセンサスの核心は gossip-about-gossip と 仮想投票 の 2 つの仕組みである。
gossip-about-gossip:各ノードはランダムに別のノードとデータを交換(gossip)するとき、自分のイベント履歴だけでなく「どのノードから何を聞いたか」という情報も含める。これにより全ノードが互いの通信履歴を把握できる。
仮想投票:Hashgraph のトポロジを解析することで、各ノードは実際に投票メッセージを送信することなく「他のノードがどのように投票するか」を仮想的に計算できる。これにより通信オーバーヘッドを削減しながら BFT を達成する。
結果として Hedera は以下の性能を持つ。
- ファイナリティ:3〜5 秒(公式目標)
- スループット:~10,000 TPS(HBAR トークン転送。HTS では更に高速)
- コンセンサス証明:aBFT(悪意ある 1/3 未満のノードに対して安全性を数学的に証明済み)
- エネルギー効率:PoW 不使用、エネルギー消費は極小
Hedera は Hashgraph アルゴリズムの特許(Swirlds 社)の上に構築されており、コンセンサスアルゴリズム自体は完全なオープンソースではなかった(後に Apache 2.0 ライセンス化)。
ガバニング評議会(大企業統治)
Hedera の最大の特徴は ガバニング評議会(Governing Council) による統治モデルである。IBM、Google、Boeing、Deutsche Telekom、LG、Standard Bank、Wipro など 39 社(各社最大 3 期・各期 3 年で交代)が評議会を構成し、プロトコルのアップグレード、ソフトウェアリリース、ノード運営などの意思決定を行う。
このモデルにより以下の特性が生まれる。
- 特定の単一企業によるネットワーク支配を防ぐ
- 規制当局に対してアカウンタビリティのある組織として対応できる
- 分散化の度合いはパブリックチェーン(Bitcoin / Ethereum)より低い
評議会モデルはエンタープライズ採用において信頼性をもたらす一方、「十分に分散化されているか」という批判も存在する。
HTS・HCS・スマートコントラクト
HTS(Hedera Token Service):ERC-20 / ERC-721 相当のトークンを、スマートコントラクトを記述せずに発行・管理できるネイティブサービス。手数料は Ethereum の 100 分の 1 以下で、エンタープライズのトークン発行ユースケースに適している。
HCS(Hedera Consensus Service):外部アプリケーション(IoT、ゲーム、サプライチェーンなど)がコンセンサス付きのタイムスタンプとログを利用できる API。分散台帳の「信頼できる時刻・順序証明」機能をサービスとして提供する。
EVM 互換スマートコントラクト:2021 年以降、Hedera は Ethereum EVM 互換のスマートコントラクト環境(Hedera Smart Contract Service)を提供。Solidity でのスマートコントラクト開発が可能で、ERC-20 / ERC-721 / DeFi プロトコルを移植できる。
HBAR トークンと規制対応
HBAR は Hedera ネットワークのネイティブトークンで、トランザクション手数料の支払い・ネットワークセキュリティ(将来のステーキング)に使用される。総発行量は 500 億 HBAR 上限、うちガバニング評議会・開発チーム向けに相当量が割り当てられている。
Hedera は規制当局との対話を重視しており、複数の法域でコンプライアンス対応を進めている。ガバニング評議会モデルは「誰が責任主体か」を明確にするため、金融機関・官公庁との協力に向いた設計である。
アンチパターン
| アンチパターン | 実態 |
|---|---|
| Hashgraph = ブロックチェーン | DAG ベースであり、ブロックのチェーン構造を持たない別アーキテクチャ |
| aBFT = 最強のコンセンサス | aBFT は理論的安全性が高いが、ガバニング評議会 39 社というノード構成は高度に中央集権的 |
| HTS = スマートコントラクト | HTS はスマートコントラクトなしでトークンを発行できる別サービス。EVM スマートコントラクトとは別 |
Backlinks
- related その他の合意方式とコンセンサスのセキュリティ