核燃料サイクル(ウラン・再処理・廃棄物)

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Created: 2026-06-07 Updated:

ウラン採掘・転換・濃縮から MOX 燃料・プルサーマル、六ヶ所再処理工場、高レベル放射性廃棄物の地層処分(NUMO・寿都/神恵内文献調査)まで、核燃料サイクルの全工程を体系化する。

核燃料サイクル(ウラン・再処理・廃棄物)

核燃料サイクルとは、ウランの採掘から始まり原子炉での燃焼、使用済み燃料の処理・処分に至る一連の工程を指す。日本はフロントエンド(採掘〜燃料加工)をほぼ海外に依存しながら、バックエンド(再処理・廃棄物処分)を国内で完結させる「核燃料サイクル政策」を堅持してきた。ただし、六ヶ所再処理工場の竣工延期と高レベル廃棄物最終処分の未解決が長期の課題として残る。情報カットオフ 〜2025-08(一部 2026-06 WebSearch 反映)、confidence: medium 固定。

フロントエンド:ウランの採掘から燃料加工まで

核燃料サイクルのフロントエンドは次の工程で構成される。

工程内容主な国・機関
採掘(Mining)ウラン鉱石を採掘・製錬し酸化ウラン(U₃O₈)に精製カザフスタン(世界シェア 43%)・カナダ・ナミビア
転換(Conversion)U₃O₈ を六フッ化ウラン(UF₆)に化学転換カナダ(Cameco)・フランス(Orano)・ロシア
濃縮(Enrichment)天然ウラン U-235 を 0.7%→3〜5%(軽水炉用)に濃縮ロシア(TENEX)・欧州(Urenco)・米国
燃料加工(Fuel Fabrication)濃縮 UF₆ を酸化ウラン(UO₂)ペレット→燃料集合体に加工日本(MHI・NFI)・フランス・米国

ウラン価格はスポット市場(Cameco キャッサンドラ等)で決まるが、世界ウラン供給の約 40% をカザフスタン(Kazatomprom)が担っており、地政学リスクの集中が課題だ。2011 年の福島事故後に需要が急減して価格が低迷し、多くの鉱山が閉山した。2022 年以降、脱炭素電源としての原子力再評価を背景にウラン価格が急回復した。

原子炉内:核燃焼と使用済み燃料

軽水炉では濃縮ウランが核分裂を起こし、熱エネルギーを発生させる。燃焼が進むと U-235 が枯渇し、生成したプルトニウム(Pu-239 等)や核分裂生成物(FP: Cs-137・Sr-90 等)が蓄積する。約 3〜4 年で取り出された使用済み燃料は高い放射能・崩壊熱を持ち、当初は原子炉施設内の冷却プールで保管される。

バックエンド:再処理とプルサーマル

再処理の目的と工程

再処理は使用済み燃料をウランとプルトニウムに分離・回収し、廃棄物量を削減しながら核燃料として再利用する技術だ。PUREX 法(溶媒抽出)が主流であり、硝酸で燃料を溶解してウランとプルトニウムを分離する。

六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村) は日本原燃(JNFL)が運営し、年間 800 トン・ウラン(tU)の処理能力を持つ。1993 年に着工し当初 1997 年竣工予定だったが、技術的課題・規制対応・東日本大震災の影響などで竣工が繰り返し延期されており、最新の竣工目標は 2026 年度とされていた(情報カットオフ時点)。

MOX 燃料とプルサーマル

再処理で回収したプルトニウムをウランと混合した混合酸化物燃料(MOX)を既存の軽水炉で燃焼させる計画をプルサーマル計画と呼ぶ。国内では高浜(関西電力)・伊方(四国電力)・玄海(九州電力)などで実施または計画中だ。MOX 燃料はフランスの Orano(旧アレバ)から調達するケースが多く、大間原子力発電所(電源開発)はフルMOX炉として建設中だ。

直接処分(ワンススルー)との比較

一部の国(米国・スウェーデン・フィンランドなど)は再処理を行わず使用済み燃料を直接最終処分するワンススルーサイクルを採用する。コストや核不拡散の観点では直接処分が有利とされるが、日本は政策として再処理路線を維持している。

バックエンド:高レベル放射性廃棄物の地層処分

高レベル放射性廃棄物(HLW)とは

再処理工程で分離された高放射能液(高レベル放射性廃液)はガラスで固化されたガラス固化体となる。六ヶ所再処理工場では処理後に生成するガラス固化体を一時貯蔵し、最終的には地層処分(地下 300 m 超の安定した地層に埋設)する計画だ。ガラス固化体は 300〜1000 年で放射能がピーク時の 1/1000 程度に低下し、数万年をかけて天然ウラン並みの放射能レベルになるとされる。

NUMO と文献調査

NUMO(原子力発電環境整備機構) は 2000 年に設立された地層処分の実施主体であり、2002 年から処分地公募を開始したが長年応募がなかった。転機となったのは 2020 年で、北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)が文献調査を受け入れた。文献調査(第 1 段階)では既存の地質・地質構造文献を調査し、処分地としての適性を初期スクリーニングする。続く概要調査(第 2 段階)では実際の地質ボーリング等が行われる。寿都・神恵内の文献調査は情報カットオフ時点で継続中であり、2025 年前後に結果が公表される見込みとされていた。

地層処分の技術的要件

地層処分に求められる要件は、①活断層・火山・地下水脈から十分な距離をとること、②岩盤の透水性が低いこと、③100 万年スケールの地質安定性が見込めることなど。日本は地震多発帯に位置するため、適地選定の技術的難度が高い。スウェーデン・フィンランドはすでに最終処分地を決定(SKB フォースマルク、Posiva ロビキビ)しており、先行事例として参照される。

核燃料サイクルの政策的課題

核燃料サイクル政策には費用対効果、核不拡散、技術成熟度の三つの側面から継続的な議論がある。

費用: 内閣府の試算では、核燃料サイクルを推進した場合と直接処分した場合でコスト差は大きくないとされるが、六ヶ所工場の稼働・処理コストは当初見込みを大幅に超過している。

核不拡散: 再処理によって分離されたプルトニウムは核兵器転用ポテンシャルを持つ。日本はすでに約 46 t のプルトニウムを(海外保管含め)保有しており、IAEAおよびG7パートナーから「プルトニウム保有最小化」原則への準拠を求める声がある。

技術成熟度: 高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)は 2016 年に廃炉決定し、プルトニウム利用計画のベースラインが崩れた。後継の高速炉開発(2024〜2028 年概念設計、tech-267 参照)が長期計画として続く。

情報カットオフ 〜2025-08(一部 2026-06 WebSearch 反映)、confidence: medium 固定。

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