電力

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Created: 2026-06-10 Updated:

電力の定義(P = V·I)・単位(ワット W)・水車アナロジー(落差=電圧・流量=電流)・有効電力・無効電力・力率を解説。物理量としての電力(ワット)と電力産業は別物。

電力(Electric Power)— P = V·I・ワット W・水車アナロジー・有効/無効電力

電力は「単位時間あたりに変換される電気エネルギーの量」を表す物理量であり、電気が「どれだけ速く仕事をするか」を示す。単位はワット(W)。電力(物理量 P = V·I)は「電力産業・電気事業者」を指す日本語の「電力」(例: 東京電力・電力自由化)とは別物であることに注意。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

電力の定義と単位

電力 P は仕事率(Power)の電気版であり、単位時間あたりに電気エネルギーが変換される量として定義される。

P = W / t   (W: 仕事 [J]、t: 時間 [s])

電圧 V と電流 I を使った最も実用的な表現は次の通り。

P = V · I
  • P: 電力(W: ワット = J/s)
  • V: 電圧(V: ボルト)
  • I: 電流(A: アンペア)

**ワット(W)**の単位の関係: W = J/s = V·A。1 ワットは 1 秒あたり 1 ジュールのエネルギーが変換される速さ。

オームの法則 V = I·R を代入すると次のように展開できる。

P = V·I = I²·R = V²/R

これらは回路の電力損失(ジュール熱)の計算で頻繁に用いられる。

水車のアナロジー

電力の概念は水車のアナロジーで直感的に理解できる。

水車の世界電気の世界
落差(水の高低差、m)電圧(V)
流量(水の流れる量、L/s)電流(A)
水車の仕事率(W = 落差 × 流量)電力(W = 電圧 × 電流)

水車は落差(= 電圧)が大きく流量(= 電流)が多いほど多くの仕事をする。落差が大きくても流量が少なければ仕事率は小さく、流量が多くても落差がなければ仕事をできない。この「積の関係」が P = V·I の本質だ。

電力の量的スケール感

電力の大きさ具体例
数 mW〜数十 mW腕時計・補聴器
数百 mW〜数 Wスマートフォン(待機〜通話時)
数十 WLED 照明・ノート PC
数百 W〜1 kW電子レンジ・PC デスクトップ
1〜2 kWドライヤー・エアコン(小型)
数 kW〜数十 kW電気自動車の急速充電
数百 MW〜数 GW原子力・火力発電所 1 基の出力

直流回路における電力

直流回路では P = V·I がそのまま適用できる(V と I が同位相のため)。抵抗 R に電圧 V をかけると、I = V/R が流れ、電力損失は次のようになる。

P = V·I = V²/R = I²·R

この電力はすべて熱(ジュール熱)として散逸する。電気ストーブ・電球・溶接機などは意図的にこの効果を利用している。

交流回路における電力:有効電力・無効電力・皮相電力

交流回路では電圧と電流の間に位相差(φ)が生じることがある(コイルやコンデンサが存在するとき)。この場合、電力は 3 種類に分類される。

種類記号単位定義実体
有効電力(平均電力)PW(ワット)P = V_rms · I_rms · cos φ実際に仕事をする電力
無効電力Qvar(バール)Q = V_rms · I_rms · sin φエネルギーを往復するだけで仕事をしない
皮相電力SVA(ボルトアンペア)S = V_rms · I_rms電源が供給する見かけの電力

力率(Power Factor)cos φ = P / S。力率 1.0 が理想的で、すべての皮相電力が有効電力になる。力率が低いと同じ仕事量を得るためにより多くの電流を流す必要があり、送電線の損失が増加する。工場の大型モーターは力率改善用のコンデンサバンクを設置することが多い。

電力と電力産業の区別

「電力」という日本語は物理量(P = V·I、単位 W)と電力産業(電気事業者・電力系統・送配電)の両方で使われる。この KB では以下のように区別する。

  • 物理量としての電力:P = V·I(ワット)。本記事(tech-320)が対象。
  • 電力産業・電力系統:Energy.canvas 側(tech-264, tech-265 等)が対象。発電・送配電・市場・政策を扱う。

両者は「電気エネルギーの大量輸送・変換」という点で接続されるが、観点が根本的に異なる。詳細は energy.md(tech-264)を参照。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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