エネルギーバンド構造

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Created: 2026-06-15 Updated:

固体中の電子が取り得るエネルギー状態をバンド構造で解説。価電子帯・禁制帯(バンドギャップ)・伝導帯の 3 層構造と、導体・絶縁体・半導体の違い、温度と不純物添加による電子遷移のメカニズムを説明する。

エネルギーバンド構造 — 価電子帯・禁制帯・伝導帯と半導体の電気的性質

固体中の電子が取り得るエネルギーは連続ではなく、「許容バンド(電子が存在できる領域)」と「禁制帯(電子が存在できないエネルギーギャップ)」が交互に並ぶバンド構造を形成する。このバンド構造の形状が物質の導電性(導体・絶縁体・半導体)を決定し、半導体デバイスの動作原理の根底をなす。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

バンド構造の 3 層モデル

固体中に周期配列された多数の原子の電子軌道が重なり合うことで、離散的なエネルギー準位が連続的なエネルギーバンドに広がる。

バンド構造は主に 3 つの領域で理解される。

価電子帯(Valence Band):電子が充満している最上位のバンド。通常状態では電子で満たされており、自由に移動できる電子(伝導に寄与するキャリア)は少ない。

禁制帯(Band Gap / Forbidden Band):価電子帯と伝導帯の間にある電子が存在できないエネルギー領域。バンドギャップとも呼ばれ、そのエネルギー幅 Eg(単位:電子ボルト eV)が物質の電気的性質を大きく左右する。

伝導帯(Conduction Band):価電子帯の上に位置する次の許容バンド。ここに電子が励起されると自由電子として結晶中を移動でき、電流が流れる。

導体・絶縁体・半導体の分類

バンドギャップの幅によって物質の電気的性質が決まる。

物質分類バンドギャップ Eg室温での導電性
導体(金属)0(価電子帯と伝導帯が重なる)高い(自由電子が豊富)
半導体0.1 eV ~ 3 eV 程度中間(温度・不純物で制御可)
絶縁体5 eV 以上低い(電子遷移が困難)

代表的な半導体材料のバンドギャップ:シリコン(Si)約 1.12 eV、ゲルマニウム(Ge)約 0.67 eV、ガリウムヒ素(GaAs)約 1.42 eV。

温度による電子遷移と正孔の生成

絶対零度(0 K)に近い温度では、純粋な半導体の価電子帯は電子で満たされ、伝導帯は空である。このため電流はほぼ流れない。

温度が上昇すると、熱エネルギーが電子に与えられる。一部の電子がバンドギャップを超えて価電子帯から伝導帯へと遷移し(熱励起)、自由に動き回れるキャリアとなる。

価電子帯から電子が抜け出た後には「正孔(ホール)」と呼ばれる空の状態が生じる。正孔は隣の電子が穴埋めをすることで実効的に正の電荷を持つキャリアとして振る舞い、電子とともに電流を運ぶ。

この「温度上昇とともに導電性が増す」現象が半導体の特徴であり、温度上昇で抵抗が増す金属導体とは逆の傾向を示す。

不純物添加(ドーピング)とバンド内準位

純粋なシリコン(真性半導体)は室温でキャリアが少なく導電性は低い。不純物(ドーパント)を添加することで、バンドギャップ内に新しいエネルギー準位が生じ、キャリア密度を大幅に増加させることができる。

ドナー準位(N 型):15 族元素(リン P・ヒ素 As など)を添加すると、伝導帯直下にドナー準位が形成される。この準位の電子は低エネルギーで伝導帯へ励起され、過剰な電子(多数キャリア)が生まれる。

アクセプタ準位(P 型):13 族元素(ホウ素 B など)を添加すると、価電子帯直上にアクセプタ準位が形成される。価電子帯の電子がこの準位に受け取られ、価電子帯に正孔(多数キャリア)が生まれる。

ドーピングの詳細は tech-343 で解説する。

バンドギャップと光・熱の相互作用

バンドギャップのエネルギー Eg は光子のエネルギー(E = hν = hc/λ)と対応しており、半導体の光学的性質と密接に関係する。

LED ではバンドギャップに相当するエネルギーを光子として放出する:GaAs(Eg ≈ 1.42 eV)は赤外線、GaN(Eg ≈ 3.4 eV)は青色光の LED に用いられる。フォトダイオードや太陽電池では光子が電子を励起して電子・正孔対を生成し、電流に変換する。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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