ドーピング

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Created: 2026-06-15 Updated:

半導体に不純物原子を添加してキャリア種別と密度を制御するドーピングを解説。N 型・P 型半導体の生成原理、PN 接合の形成と空乏層、整流作用(一方向のみの通電)のメカニズムを説明する。

ドーピング — N 型・P 型半導体と PN 接合・空乏層・整流作用

半導体(代表例:シリコン Si)は純粋な状態ではキャリアが少なく電流を流しにくい。そこに微量の不純物(ドーパント)を添加することでキャリアの種別と密度を精密に制御する技術がドーピングである。ドーピングによって N 型・P 型の 2 種類の半導体が生まれ、この 2 つを接合させた PN 接合が現代の半導体デバイスのほぼすべての基礎となる。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

N 型半導体:電子が多数キャリア

シリコン(価電子 4 個)に 15 族元素(リン P・ヒ素 As など、価電子 5 個)を添加すると、共有結合に使われない余剰の電子が 1 個生じる。この電子は弱く結合しており、室温程度の熱エネルギーで自由電子として伝導帯へ解放される。

結果として電子(負電荷キャリア)が多数を占める N 型(Negative)半導体となる。電子を供給する不純物をドナー(donor)と呼ぶ。

P 型半導体:正孔が多数キャリア

シリコンに 13 族元素(ホウ素 B など、価電子 3 個)を添加すると、共有結合に電子が 1 個不足する「穴」が生じる。この穴(正孔)は隣の電子が入り込むことで移動でき、正の電荷を持つキャリアとして振る舞う。

結果として正孔(正電荷キャリア)が多数を占める P 型(Positive)半導体となる。電子を受け入れる不純物をアクセプタ(acceptor)と呼ぶ。

PN 接合の形成と空乏層

N 型半導体と P 型半導体を接合させると、接合面付近で特徴的な現象が起きる。

拡散:N 型の電子は P 型側へ、P 型の正孔は N 型側へとそれぞれ濃度勾配に従って拡散する。

空乏層(Depletion Layer)の形成:電子と正孔が再結合して互いに打ち消し合い、接合界面付近にキャリアが枯渇した「空乏層」が形成される。

内蔵電位(ビルトインポテンシャル):空乏層内には N 側が正、P 側が負の静電場が形成され、これがそれ以上の拡散を阻止する電位差(シリコンで約 0.7 V)を生み出す。この内蔵電位が整流作用の根本原因となる。

整流作用:一方向のみに電流を流す

PN 接合に外部電圧(バイアス)を印加すると、電流の流れ方が劇的に変わる。

順方向バイアス(P 側 +、N 側 −):外部電圧が内蔵電位を打ち消す方向に働き、空乏層が縮小する。キャリアが接合を越えて流れ込み、電流が大きく流れる(しきい電圧:Si では約 0.6 ~ 0.7 V)。

逆方向バイアス(P 側 −、N 側 +):外部電圧が内蔵電位を強める方向に働き、空乏層が拡大する。キャリアが接合を越えられず、ごくわずかな逆方向電流(漏れ電流)しか流れない。

この非対称な電流特性(順方向:大電流 / 逆方向:ほぼゼロ)を整流作用と呼び、ダイオードの基本動作原理となる。

ドーパント濃度と半導体特性の制御

ドーパント濃度はデバイス特性を大きく変える。典型的なドーピング濃度の範囲を示す。

用途ドーパント濃度(cm⁻³)特徴
軽度ドープ(低濃度)10¹³ ~ 10¹⁵高抵抗、Zener・フォトダイオード向け
中程度ドープ10¹⁵ ~ 10¹⁸一般的なトランジスタのチャネル
重度ドープ(高濃度)10¹⁸ ~ 10²¹低抵抗電極・オーミックコンタクト形成

重度ドープ領域は n⁺ または p⁺ と表記し、金属に近い導電性を示す。

PN 接合からダイオード・トランジスタへ

PN 接合はそれ自体がダイオード(tech-344)として機能する。さらに、2 つの PN 接合を組み合わせた 3 層構造(NPN または PNP)がバイポーラトランジスタ(tech-345)の基本構造となる。MOSFET などの電界効果トランジスタでも、ゲート絶縁層下のチャネル領域のドーピングが動作を決定する。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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