センサー
電気的な変化を検出して信号に変換するセンサーを解説。電圧・電流・温度・磁界の各センサーの動作原理と特性を体系化し、計測制御システムへの適用指針を示す。
article technology ja 電気的な変化を検出して信号に変換するセンサーを解説。電圧・電流・温度・磁界の各センサーの動作原理と特性を体系化し、計測制御システムへの適用指針を示す。センサー — 電圧・電流・温度・磁界センサーの種類と原理
センサー(Sensor)は、物理的・化学的な変化を検出して電気信号に変換するデバイスであり、計測・制御システムにおける「入力」の役割を担う。センサーなしには系の状態を把握できず、フィードバック制御も成立しない。電気系では電圧・電流・温度・磁界の 4 種類がとくに重要であり、これらが自動制御システムの基盤を形成する。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。
センサーの基本概念
センサーは物理量(計測量)を電気量(電圧・電流・抵抗変化・容量変化など)に変換するトランスデューサ(変換器)である。
センサーの性能指標
- 感度(Sensitivity):入力変化に対する出力変化の比率(例:1 mV/℃)。
- 分解能(Resolution):検出できる最小の入力変化量。
- 精度(Accuracy):真値に対する測定値のずれの大きさ。
- 応答速度(Response Time):入力変化に対して出力が追従するまでの時間。
- ノイズ特性(Noise):信号に重畳する不要な変動成分。S/N 比で評価する。
- 動作範囲(Range):センサーが正確に動作する入力の最小〜最大値。
センサーの出力は通常、マイクロコントローラの A/D 変換器に入力され、デジタル値として処理される。センサーの出力範囲と A/D 変換器の入力電圧範囲を適切に合わせるためのアンプ(信号調整回路)が必要な場合が多い。
電圧センサー
電圧センサーは回路の電位差を測定するためのデバイス。一般的には抵抗分圧回路が最も単純な実装であり、2 本の抵抗で電圧を分圧してマイコンの ADC レンジに合わせる。高電圧(数百 V 以上)の計測には絶縁型電圧センサー(ホールセンサー内蔵の閉ループ型や PT(電位トランス)方式)を用いる。
差動入力型電圧センサー:グランドから浮いた 2 点間の電圧を測定するには差動アンプ回路を使用する。コモンモードノイズを除去し、高い CMRR(同相除去比)を持つ設計が求められる。
電流センサー
電流センサーは回路の電流量を検出するデバイス。測定方式によって特性が大きく異なる。
シャント抵抗型:測定電流路に低抵抗のシャント抵抗を直列挿入し、両端電圧 V = I・R を測定する。回路が簡単でコストが低いが、回路に挿入損失(銅損)が生じ、絶縁が取れない欠点がある。
CT(電流トランス)型:1 次導体を磁気コアに通し、2 次コイルに誘起される電流から 1 次電流を算出する。非接触・絶縁分離・AC 専用の特性を持つ。クランプメータに内蔵されている方式。
ホール素子型:電流が生成する磁界をホール効果で測定する。DC・AC 双方に対応し、絶縁分離も可能。閉ループ型は高精度、開ループ型はコストが低い。EV・産業用インバータの電流センシングに広く採用される。
温度センサー
温度センサーは電気系で最も多用されるセンサーの一つであり、電子部品の熱管理・電池の過充電防止・モーターの過熱保護などに使われる。
サーミスタ(Thermistor):温度によって抵抗値が変化する素子。NTC(負温度係数:温度上昇で抵抗減少)が一般的。感度が高く安価だが非線形性が大きいため、ルックアップテーブルや Steinhart–Hart 方程式でリニアライズする。
熱電対(Thermocouple):異種金属接合部のゼーベック効果で起電力を生成する。測定レンジが広く(〜1000℃以上)、耐環境性に優れる。信号が微小電圧(数十 μV/℃)のため高精度な差動増幅器が必要。
PT100(測温抵抗体、RTD):白金(Pt)の温度係数を利用した精密温度センサー。0℃で 100 Ω、線形性が高い。産業計測や医療機器に多用される。
半導体温度センサー(IC 型):シリコン pn 接合の温度特性を利用。デジタル出力(I2C/SPI)でマイコン接続が容易。精度は ±0.5℃ 程度、測定レンジは一般的に −55℃ 〜 +150℃。
磁界センサー
磁界センサーは磁気的な変化を検出する素子であり、電流の間接測定・位置検出・回転数検出などに幅広く使われる。
ホール素子(Hall Element):磁界中に電流を流すとローレンツ力により直交方向に電圧(ホール電圧)が生じる現象を利用する(ホール効果)。DC 磁界の測定・電流センサー・回転センサーに使用される。電気系 canvas では磁界(tech-326)の理解を前提とする。
フラックスゲートセンサー:軟磁性コアの飽和特性を利用した高感度磁界センサー。地磁気の 1/1000 以下の微弱磁界を検出できる。コンパス・地磁気計測・漏洩磁界検出に使用。
MR(磁気抵抗)センサー:磁界によって材料の電気抵抗が変化する効果(磁気抵抗効果)を利用する。AMR・GMR・TMR の順に感度が向上し、HDD のリードヘッドや高精度位置センサーに採用される。
情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。