磁場
磁場の定義・磁束密度 B(単位テスラ T)・磁力線の性質・電流と磁場の関係を解説する。電磁気学の基礎概念として、電場との対比と磁場が及ぼす力の仕組みを体系化する。
article technology ja 磁場の定義・磁束密度 B(単位テスラ T)・磁力線の性質・電流と磁場の関係を解説する。電磁気学の基礎概念として、電場との対比と磁場が及ぼす力の仕組みを体系化する。磁場(Magnetic Field)— 磁束密度 B・テスラ・磁力線・電流との関係
磁場は電流や磁石のまわりに生じる「力の場」であり、別の電流・磁石・動く電荷に対して力を及ぼす。電場(tech-318)が静止した電荷を源とするのに対し、磁場は**動く電荷(電流)または磁気双極子(磁石)**を源とする。この二つの場は電磁気学の中で深く結びつき、マクスウェル方程式(tech-331)によって統一される。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。
磁束密度の定義と単位
磁場は「磁束密度(magnetic flux density)」として定義され、記号 B、単位は テスラ(T) を用いる。
1 T = 1 kg/(A·s²) = 1 V·s/m²
磁束密度 B は「単位面積を垂直に貫く磁束の量」を表すベクトル量だ。日常的に接する磁場の強さの目安:
| 場所・装置 | 磁束密度の目安 |
|---|---|
| 地球の地磁気 | 約 25〜65 μT |
| 冷蔵庫の磁石 | 1〜5 mT |
| MRI 装置 | 1.5〜7 T |
| 研究用超伝導マグネット | 10〜45 T |
磁場の強さを表す別の量として「磁場の強さ H」があり、単位は A/m。B と H は真空中では B = μ₀H(μ₀: 真空の透磁率 ≒ 4π×10⁻⁷ T·m/A)の関係にある。媒質中では B = μH(μ: 透磁率)となる。
磁力線の性質
磁場はベクトル量のため、向きと強さを同時に表現するために磁力線(magnetic field lines)を用いる。
磁力線の重要な性質:
- 方向: 磁石の外部では N 極から出て S 極に向かう。内部では S 極から N 極に戻り、閉ループを形成する。
- 閉ループ性: 磁力線は必ず閉ループを形成し、途中で始まったり終わったりしない。「単独の磁荷(磁気モノポール)が存在しない」ことを意味し、マクスウェル方程式のガウスの法則(磁場)として定式化される。
- 密度と強さ: 磁力線が密集している場所ほど磁場が強い。
- 交差しない: 任意の点で磁場の向きは一つだけ。
電流と磁場の関係
電流(動く電荷)は必ず周囲に磁場を生じる。これはアンペールの法則(tech-327)として定式化される。
- 直線電流: 導線の周囲には、電流を中心とした同心円状の磁場が生じる。向きは右ねじの法則で決まる(電流の向きに右ねじを進めると、ねじの回転方向が磁場の向き)。
- ソレノイド: 多重巻きコイル内部では均一な磁場が形成され、強さは
B = μ₀nI(n: 単位長さあたりの巻数、I: 電流)で与えられる。
磁場が及ぼす力
磁場 B の中で速度 v で動く電荷 q は力を受ける(ローレンツ力、tech-328)。
F = qv × B
この力は v と B の両方に垂直な方向に働く。磁場は電荷の速さを変えず、向きだけを変える(磁場は仕事をしない)。磁場の中に電流が流れる導線を置くと F = IL × B の力が働き、これがモーターの動作原理となる。向きはフレミングの左手の法則(tech-329)で確認できる。
磁性体の種類
磁場の源は二種類ある。一つは巨視的電流(コイル・導線)、もう一つは原子・分子レベルの磁気双極子(電子スピン)。これらが揃う物質が強磁性体(鉄・コバルト・ニッケルなど)であり、恒久磁石を作れる。
| 磁性の種類 | 外部磁場への応答 | 代表例 |
|---|---|---|
| 強磁性 | 同方向に強く磁化・残留磁気あり | 鉄・ニッケル・コバルト |
| 常磁性 | 同方向にわずかに磁化 | アルミニウム・白金 |
| 反磁性 | 逆方向にわずかに磁化 | 銅・金・水 |
情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。