アンペールの法則

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Created: 2026-06-15 Updated:

アンペールの法則を解説。電流が周囲に生じさせる磁場の強さと向きを定量化する関係式 B·l = μI を示し、右ねじの法則・ソレノイドへの応用・マクスウェルによる変位電流の拡張を説明する。

アンペールの法則 — 電流と磁場の定量的関係・右ねじの法則

アンペールの法則は「電流が流れる導線のまわりに磁場が生じる」という現象を定量的に記述する法則であり、電磁気学の基本原理の一つだ。フランスの物理学者アンドレ=マリー・アンペールが 19 世紀初頭に確立し、後にマクスウェールが変位電流(tech-331)を加えて完全な形に拡張した。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

アンペールの法則の基本形

アンペールの法則の積分形を直線電流の場合に適用すると次の形になる。

B · l = μ₀ · I
  • B: 磁束密度(T: テスラ)
  • l: 電流を一周する閉曲線の長さ(m)
  • μ₀: 真空の透磁率(≒ 4π×10⁻⁷ T·m/A)
  • I: 閉曲線を貫く電流(A: アンペア)

直線電流から距離 r 離れた点での磁束密度は:

B = μ₀I / (2πr)

電流 I が大きいほど、また電流に近いほど磁場が強くなることがわかる。例えば 1 A の電流が流れる導線から 1 cm 離れた場所の磁束密度は約 20 μT(地磁気の同程度)となる。

磁場の向き:右ねじの法則

アンペールの法則から導かれる磁場の向きは右ねじの法則(右手の法則とも呼ばれる)で直感的に把握できる。

  • 右手の親指を電流の向きに合わせると、残りの 4 本の指が磁場の回転方向(向き)を示す。
  • ねじが進む方向を電流の向きとすると、ねじの回転方向が磁場の向きとなる。

平行な 2 本の電流が流れる場合:

  • 同方向電流: 互いに引き合う(磁場の向きが互いに相手を引き寄せる向きに作用)。
  • 逆方向電流: 互いに反発する。

これは実際に「電流の定義」の基礎ともなっており、SI 単位系でのアンペアの定義(旧定義)は「1 m 離れた 2 本の平行導線間に働く力が 2×10⁻⁷ N/m となるときの電流」として規定されていた。

ソレノイドへの応用

ソレノイド(長い円筒状のコイル)にアンペールの法則を適用すると、内部の一様な磁場が導出される。

B = μ₀ · n · I
  • n: 単位長さあたりの巻数(ターン/m)
  • I: 電流(A)

ソレノイドの特徴:

  • 内部の磁場は一様で強い。
  • 外部の磁場はほぼゼロ(磁場が内部に集中)。
  • n を大きくするか I を増やすことで磁場を強化できる。
  • 鉄心(鉄製のコア)を入れることで透磁率が増大し、B = μnI(μ ≫ μ₀)と大幅に強化できる。

電磁石・変圧器・モーターのコイル設計においてソレノイドの公式は基本的な設計式として使われる。

マクスウェルによる拡張:変位電流

古典的なアンペールの法則では定常電流しか扱えず、コンデンサー(電極間に電流が流れないが充電・放電中は電場が変化する)の状況に矛盾が生じる。マクスウェールはこの問題を「変位電流(displacement current)」の概念を導入することで解決した。

拡張されたアンペール・マクスウェールの法則:

∮ B · dl = μ₀(I + ε₀ · dΦE/dt)
  • I: 通常の伝導電流
  • ε₀ · dΦE/dt: 変位電流(電場の時間変化による項)

この拡張により「変化する電場も磁場を作る」ことが示され、電場と磁場が相互に誘導し合って空間を伝わる電磁波(tech-332)の存在がマクスウェール方程式(tech-331)から導出されることとなった。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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