電磁誘導

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Created: 2026-06-15 Updated:

電磁誘導の定義・ファラデーの法則(ε = −dΦ/dt)・レンツの法則・磁束の概念を解説する。発電機・変圧器・ワイヤレス充電の原理として、変化する磁場が起電力を生む仕組みを体系化する。

電磁誘導 — ファラデーの法則・レンツの法則・発電の原理

電磁誘導は「磁束(導体が囲む面積を貫く磁場の量)が変化すると、その導体に起電力が誘導される」という現象だ。イギリスの科学者マイケル・ファラデーが 1831 年に発見し、電磁気学の最も重要な実験的発見の一つとなった。発電機・変圧器・ワイヤレス充電・インダクターなど、現代の電気技術の根幹をなす原理だ。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

磁束の定義

電磁誘導の定量化には「磁束(magnetic flux)」という概念が必要だ。磁束 Φ は「ある面積を垂直に貫く磁場の総量」として定義される。

Φ = B · A · cosθ
  • B: 磁束密度(T)
  • A: 面積(m²)
  • θ: 磁場と面の法線のなす角
  • Φ の単位: ウェーバー(Wb = T·m²)

コイルが N 巻のとき、全磁束鎖交数(フラックスリンケージ)は となる。磁束が変化する原因は三つ:①磁場 B の強さが変化、②コイルの面積 A が変化(コイルが動く)、③磁場とコイルの角度 θ が変化(コイルが回転)。

ファラデーの法則

ファラデーの法則は「回路に生じる誘導起電力(EMF)は、その回路を貫く磁束の時間変化率に比例する」という法則だ。

ε = −N · dΦ/dt
  • ε(イプシロン): 誘導起電力(V)
  • N: コイルの巻数
  • dΦ/dt: 磁束の時間変化率(Wb/s)
  • 負号: レンツの法則による向き(後述)

磁束の変化速度が速いほど、またコイルの巻数が多いほど、大きな起電力が誘導される。たとえば磁石をコイルに近づけると磁束が増加し、起電力が誘導されて電流が流れる。

レンツの法則

ファラデーの法則の式にある負号の意味がレンツの法則だ。

レンツの法則: 誘導起電力(および誘導電流)は、それを引き起こした磁束の変化を打ち消す方向に生じる。

具体例:

  • N 極をコイルに近づける → コイルの上面に N 極が現れるように誘導電流が流れ、近づく磁石を押し返す。
  • N 極をコイルから遠ざける → コイルの上面に S 極が現れるように誘導電流が流れ、遠ざかる磁石を引き止めようとする。

レンツの法則はエネルギー保存則の必然的帰結だ。もし誘導電流が磁束変化を助ける向きに流れるなら、電流が磁場を強め → さらに誘導電流が増大 → 永久に増加するエネルギーが生まれることになり、エネルギー保存則に反する。

誘導起電力の大きさ

直線導線が磁場中を動く場合の誘導起電力(「運動起電力」):

ε = Bvl
  • B: 磁束密度(T)
  • v: 導線の速度(m/s)
  • l: 導線の有効長さ(m)

この式はローレンツ力(tech-328)の観点でも説明できる:磁場中を動く導線内の自由電子がローレンツ力を受け、一端に電荷が蓄積して電位差が生じる。

発電機の原理

交流発電機(AC ジェネレーター / オルタネーター)は電磁誘導の典型的応用だ。

基本構造: 磁場(固定磁石または電磁石)の中でコイルが回転する。コイルが回転すると磁束の変化率 dΦ/dt が変化し、起電力が誘導される。コイルの回転角 θ = ωt とすると:

ε(t) = NBAω sin(ωt) = ε_max sin(ωt)
  • ω: 角速度(rad/s)
  • 最大起電力: ε_max = NBAω

この式が示すように、誘導起電力は正弦波で変化する → これが交流(AC)の起源だ。日本の商用電源 50 Hz / 60 Hz は発電機の回転数に対応する(50 Hz = 3000 rpm / 2 極、60 Hz = 3600 rpm / 2 極)。

変圧器の原理

変圧器(トランス)は電磁誘導を利用して交流電圧を変換する装置だ。

基本構造: 鉄心(コア)に一次コイル(N₁ 巻)と二次コイル(N₂ 巻)を巻く。一次コイルに交流電圧を印加すると交流磁束が鉄心を通り、二次コイルに起電力が誘導される。

変圧比

V₂/V₁ = N₂/N₁

理想変圧器ではエネルギー損失がなく V₁I₁ = V₂I₂(電力保存)が成り立つ。巻数比を調整することで自由に電圧変換できる。発電所から家庭への送電で高圧(数十万 V)→低圧(100/200 V)への変圧は変圧器による電磁誘導を利用する。

ワイヤレス充電(電磁誘導方式)

ワイヤレス充電(Qi 規格など)は電磁誘導の直接応用だ。

  • 充電器側コイルに交流電流を流す → 交番磁場を発生。
  • スマートフォン側コイルが交番磁場を受けて誘導起電力を得る → 整流して充電。
  • コイル間の距離が短い(数 mm〜数 cm)ほど磁束結合が強く効率が高い。

情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。

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