アナログ回路
連続した電圧・電流を扱うアナログ回路を解説。オペアンプの差動増幅・負帰還の原理、反転・非反転増幅器の構成、フィルタ回路(LPF/HPF)とコンパレータの動作と用途を説明する。
article technology ja 連続した電圧・電流を扱うアナログ回路を解説。オペアンプの差動増幅・負帰還の原理、反転・非反転増幅器の構成、フィルタ回路(LPF/HPF)とコンパレータの動作と用途を説明する。アナログ回路 — オペアンプ・フィルタ・コンパレータの原理と応用
アナログ回路は電圧・電流を連続量として処理する回路の総称である。物理世界の信号(音声・温度・光・圧力など)は本質的にアナログであり、センサからの微弱信号の増幅、ノイズ除去フィルタリング、デジタル変換前の信号調整など、あらゆる電子システムの入口でアナログ回路が機能する。情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。
アナログ回路の基本概念
アナログ回路では電圧・電流が時間的に連続して変化する値を持つ。対照的なデジタル回路(tech-347)が 0/1 の二値しか扱わないのに対し、アナログ回路は無限の中間値を精密に処理できる。
アナログ回路の主な構成要素:
- 受動素子(tech-336):抵抗 R・コンデンサ C・コイル L。信号を分圧・積分・フィルタリングする。
- 能動素子:トランジスタ(tech-345)・ダイオード(tech-344)。信号を増幅・整流する。
- 集積回路(IC):オペアンプ・コンパレータ・乗算器などの汎用アナログ IC。
オペアンプ(演算増幅器)の構造と原理
オペアンプ(Operational Amplifier、Op-Amp)は高利得の差動増幅器を 1 パッケージにまとめた集積回路であり、アナログ回路設計の中心的部品である。
理想オペアンプのモデル:
- 開ループ電圧利得 A(差動利得):10⁵ ~ 10⁶ 程度(理想では無限大)
- 入力インピーダンス:極めて高い(理想では無限大)→ 入力端子に電流が流れない
- 出力インピーダンス:極めて低い(理想ではゼロ)→ 負荷に影響されない
- 2 入力端子:反転入力(−)と非反転入力(+)
差動増幅の原理:出力電圧 Vout = A × (V+ − V−)。2 入力の差電圧を増幅する。
負帰還(ネガティブフィードバック)の役割
単純なオペアンプは利得が大きすぎて実用に使いにくい。出力を反転入力端子に帰還させる「負帰還(NFB)」を加えることで、利得を安定した低い値に固定し、線形で予測可能な増幅器を実現する。
仮想短絡(イマジナリ ショート):理想オペアンプに負帰還をかけると、V+ ≈ V− が成り立つ(出力が入力差をゼロにしようとする)。この仮想短絡の性質を使って回路の動作を解析できる。
基本増幅回路の構成
反転増幅器:入力を反転入力(−)端子に入れ、出力を帰還抵抗を介して同端子に戻す構成。電圧利得 = −R2/R1(R1: 入力抵抗、R2: 帰還抵抗)。出力は入力に対して 180° 位相反転する。
非反転増幅器:入力を非反転入力(+)端子に入れ、出力を帰還抵抗で分圧して反転入力(−)端子に戻す構成。電圧利得 = 1 + R2/R1。入力と出力は同位相。
電圧フォロワ(ボルテージフォロワ):帰還抵抗を短絡した非反転増幅器の特殊形(利得 = 1)。入力インピーダンスが高く出力インピーダンスが低いため、信号源と負荷を分離するバッファとして使う。
フィルタ回路:特定周波数帯域の選択
フィルタは特定の周波数帯域の信号のみを通過させ、他を減衰させる回路であり、アナログ信号処理の最重要機能のひとつである(交流回路の周波数特性は tech-338 を参照)。
ローパスフィルタ(LPF):低周波を通過させ高周波を遮断。抵抗 R とコンデンサ C の直列回路で構成(RC-LPF)。カットオフ周波数 fc = 1/(2π RC)。音声ノイズ除去・アンチエイリアシングに使用。
ハイパスフィルタ(HPF):高周波を通過させ低周波・直流を遮断。C と R の順序を逆にした RC 回路で実現。DC 成分除去・高音域の抽出に使用。
バンドパスフィルタ(BPF):特定の周波数帯域のみ通過。LPF と HPF を組み合わせて構成。ラジオ受信・通信の選局に使用。
アクティブフィルタ:オペアンプと RC 素子を組み合わせたフィルタで、増幅機能を持ちながらインピーダンスの問題が少ない。サレン–キー回路などが広く使われる。
コンパレータ:閾値比較で二値出力
コンパレータ(comparator)は 2 つのアナログ入力電圧を比較して、大小関係に応じて HIGH または LOW のデジタル出力を出す回路である。
オペアンプを負帰還なし(開ループ)で使用するとコンパレータとして機能する。専用コンパレータ IC はオペアンプより高速に設計されている。
主な用途:
- ゼロ交差検出器:交流信号がゼロを交差するタイミングを検出。
- ウィンドウコンパレータ:入力が上限と下限の間にあるかを判定。
- A/D 変換(tech-347)のサブ回路として使用。
- 過電圧保護:電源電圧が閾値を超えたとき保護回路をトリガー。
シュミットトリガ:ヒステリシスによる安定化
コンパレータにヒステリシス(正帰還)を加えたシュミットトリガは、入力信号のノイズによる出力のチャタリング(不安定な振動)を防ぐ。閾値に幅(上限 VH と下限 VL)を持たせることで、入力信号がその幅を超えないかぎり出力が切り替わらない安定した動作を実現する。スイッチの接点チャタリング除去・デジタル信号の波形整形に使われる。
情報カットオフ 〜2025-08、confidence: medium 固定。
Backlinks
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