NEAR Protocol(ニア)
Nightshade シャーディングと Doomslug ファイナリティを採用した L1。チェーン抽象化・チェーン署名・Aurora EVM L2 を軸に「マルチチェーンの統一 UX」を目指す。ネイティブトークンは NEAR。
article technology ja Nightshade シャーディングと Doomslug ファイナリティを採用した L1。チェーン抽象化・チェーン署名・Aurora EVM L2 を軸に「マルチチェーンの統一 UX」を目指す。ネイティブトークンは NEAR。NEAR Protocol(ニア)
NEAR Protocol は、Illia Polosukhin(現 NEAR Foundation 会長)と Alexander Skidanov が 2018 年に設立した L1 ブロックチェーンである。Nightshade シャーディングによる水平スケーリング・Doomslug ファイナリティ・チェーン抽象化(Chain Abstraction)・チェーン署名(Chain Signatures)を核とし、「任意のチェーンをひとつの NEAR アカウントで操作できる」マルチチェーン UX を目指す。Aurora は NEAR 上の EVM 互換 L2 であり、ネイティブトークンは NEAR。情報カットオフ ~2025-08、confidence: medium 固定(2026-06 時点での外部再検証は未実施)。
Nightshade シャーディングとステートレス検証
Nightshade は NEAR のシャーディングアーキテクチャの名称である。単一のブロックをシャードごとの「chunk(チャンク)」に分割し、各シャードのバリデータが自分のシャードの chunk のみを処理する。最終的なブロックは全シャードの chunk ヘッダを含む一本のチェーンとして扱われる。
Nightshade ロードマップには複数フェーズがある。Phase 1〜2 ではシャード分割の段階的導入が行われ、Phase 3 で導入された ステートレス検証(Stateless Validation) が鍵となった。バリデータはシャードのフルステートを保持せず、chunk ごとの witness(状態証明)を受け取って検証する設計であり、バリデータの負荷を低減してシャード数を増やしやすくした。
Doomslug ファイナリティ
Doomslug は NEAR のブロック生成プロトコルで、Classic PoS の BFT ファイナリティとは異なる実用的なアプローチを採用する。各ブロックスロットにはラウンドロビンでブロックプロデューサーが割り当てられ、バリデータの 2/3 超がそのブロックを endorsement するとブロックが実質的に確定する。エンドースメントはブロック直後の次ブロックに含まれるため、ファイナリティは通常 1〜2 ブロック内(数秒以内)で達成される。
Doomslug の設計意図は「ネットワーク分断が発生しない限り高速ファイナリティ」を保証し、分断時に安全性(safety)を優先して可用性(liveness)を犠牲にする点にある。Ethereum の Casper ガジェットよりも単純な設計で、NEAR のシャーディングと組み合わせやすい。
チェーン抽象化とチェーン署名
Chain Abstraction(チェーン抽象化) は NEAR が 2024 年に提唱した戦略的概念で、ユーザーが Ethereum・Bitcoin・Solana 等の異なるチェーンを意識せずに NEAR アカウントから操作できる UX を目指す。マルチチェーンガス手数料の抽象化・クロスチェーン账户統一・Intent ベースのトランザクション実行などを含む。
Chain Signatures(チェーン署名) はその技術的中核で、NEAR の MPC(マルチパーティ計算)ネットワークが任意の外部チェーン(EVM・Bitcoin UTXO など)のトランザクションに署名できる仕組みである。ユーザーは NEAR アカウント(または OIDC ソーシャルログインによる Passkey アカウント)から外部チェーンの資産をコントロールでき、ブリッジや別ウォレットが不要になる。
Aurora EVM L2
Aurora は NEAR 上で動作する Ethereum 互換レイヤーで、EVM バイトコードをそのまま実行できる環境を提供する。スマートコントラクトは NEAR の wasm ベース VM ではなく Aurora EVM で実行され、Solidity プロジェクトのポーティングが容易である。ガス手数料の支払いには ETH を使用でき、MetaMask などの既存 Ethereum ツールチェーンが利用可能。Aurora は独立した EVM チェーンとしてではなく NEAR スマートコントラクト上で実行されるため、NEAR のセキュリティと最終的なファイナリティを継承する。
NEAR トークンとエコシステム
NEAR はネイティブトークンで、ガス手数料・ストレージステーキング(アカウントのオンチェーンストレージのロック)・バリデータ委任に使われる。ガス手数料の 30% はコントラクト開発者に還元(Developer Rebate)される設計で、インセンティブのアライメントを図っている。
エコシステムでは DeFi プロトコル(Ref Finance など)・NFT マーケット・ソーシャル DApp・AI エージェント向けのオンチェーン支払い基盤としての活用が進んでいる。Illia Polosukhin が Transformer 論文(“Attention is All You Need”、2017)の共著者の一人であることから、AI とブロックチェーンの融合という文脈で NEAR が注目されることも多い。
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