Tezos(テゾス)

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Created: 2026-06-01 Updated:

自己改正オンチェーン統治(HF 不要)と LPoS(baking)を特徴とする L1。Michelson スマートコントラクト・Etherlink EVM L2・Smart Rollups を持ち、2017 年 ICO($232M)を経て成熟。ネイティブトークンは XTZ。

Tezos(テゾス)

Tezos は Arthur Breitman と Kathleen Breitman 夫妻が設計し、2017 年に $232M の ICO(当時最大規模)を経て 2018 年にメインネットが公開された L1 ブロックチェーンである。最大の特徴は 自己改正(Self-Amendment) ——プロトコルアップグレードをオンチェーン統治で承認・適用できるためハードフォークが不要——という設計にある。コンセンサスは LPoS(Liquid Proof of Stake) で、スマートコントラクトは形式検証に適した Michelson スタック言語(と上位言語 SmartPy・Ligo・Archetype)で記述する。EVM 互換 L2 の Etherlink(Smart Rollups 基盤)が 2024 年に本番稼働し、ネイティブトークンは XTZ。情報カットオフ ~2025-08、confidence: medium 固定(2026-06 時点での外部再検証は未実施)。

LPoS(液体プルーフオブステーク)と Baking

LPoS(Liquid Proof of Stake) は Tezos のコンセンサスモデルの名称で、「液体(Liquid)」はステークの委任が柔軟(いつでも委任・撤回可能)であることを指す。ブロック生成者を Baker(ベイカー) と呼び、最低 6,000 XTZ(情報カットオフ時点での値、将来変更可能)のロールを担保(bond)としてロックすることでベイカーとして参加できる。ブロック生成と attestation(旧称 endorsement)の両方に報酬がある。

委任者(デリゲーター)はベイカーに XTZ をデリゲートしてステーキング報酬を受け取れるが、カストディはユーザーのまま(非カストディアル委任)。この「委任しても自己保管を維持できる」点が LPoS の「液体」の意味でもある。コンセンサスには Tenderbake と呼ばれる BFT ベースのプロトコルが使われており、2 ラウンドのファイナリティ(数秒)が実現されている。

自己改正オンチェーン統治

Tezos の最大の特徴が Self-Amendment(自己改正) である。プロトコル変更は以下の 4 フェーズの投票サイクルを経て適用される:

  1. 提案(Proposal)フェーズ — 誰でもプロトコル変更を提案できる。ベイカーが提案に投票し、最多票の提案が次フェーズへ進む。
  2. 探索(Exploration)フェーズ — 選ばれた提案に対し、ベイカーが賛否投票(スーパーマジョリティ要件)。
  3. クーリングオフフェーズ — 実装確認・コミュニティ議論の猶予期間。
  4. 採用(Adoption)フェーズ — プロトコルが自動的に更新される。

この仕組みにより Tezos は 2018 年のメインネット公開以来、定期的にアップグレード(「プロトコル名」は花の名や地名が使われる:Babylon、Delphi、Edo、Florence、Granada、Hangzhou, …, Oxford, Paris, Quebec 等)をハードフォークなしで適用し続けてきた。コミュニティの合意形成を内部化した設計は、プロトコル分裂リスクを大幅に低減する。

Michelson・SmartPy・Ligo・Archetype

Michelson は Tezos のネイティブスマートコントラクト言語で、スタックベースの低レベル言語である。型付きスタック操作で表現するため人間が直接読み書きするには困難だが、形式検証(Formal Verification) との親和性が高く、Mi-Cho-Coq(Coq 証明システム向けフレームワーク)による正確性証明が可能という設計上の狙いがある。

実際の DApp 開発では上位言語が使われる:

  • SmartPy — Python ライクな文法で Michelson にコンパイル。テストフレームワークを内蔵し初心者に人気。
  • Ligo — Pascal/Reason/JSLIGO の複数文法を選択できる関数型言語。
  • Archetype — 形式検証ツール(Why3)との統合を重視した高レベル言語。

Smart Rollups は Tezos がプロトコルレベルで実装した最適化 Rollup 基盤で、任意の wasm プログラムをオフチェーンで実行し L1 で決済できる。楽観的ロールアップに近い設計で、チャレンジ期間を経て最終確定する。

Etherlink は Smart Rollups 上に構築された EVM 互換 L2 で、2024 年に本番稼働した。EVM バイトコードをそのまま実行でき、MetaMask 等の既存 Ethereum ツールが利用可能。ガス手数料は XTZ(またはラップ XTZ)で支払われる。Etherlink により Tezos は Solidity エコシステムとの橋渡しができる L2 レイヤーを持つことになった。

2017 年 ICO と XTZ トークン

2017 年の ICO は 232 百万ドルを調達し、当時のブロックチェーン ICO 史上最大規模と報じられた。ただし ICO 後に Breitman 夫妻と Tezos Foundation の Johann Gevers との間で法的・運営上の紛争が発生し、メインネット公開が予定より遅延した(2018-06 に最終稼働)。この経緯は初期ガバナンスの脆弱性として記録されている。

XTZ(別名「テズ tez」とも呼ばれる)はネイティブトークンで、ガス手数料・ベイキング担保・委任報酬・ガバナンス投票に使用される。発行上限は設定されておらず、年率 ~4〜5% 程度のインフレーション(プロトコル変更で調整可能)が続く設計である。

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