DeFi(分散型金融)総覧
DeFi(分散型金融)の全体像ハブ。AMM・DEX・Perpetual DEX・Lending/CDP・ステーブルコイン・利回り戦略・リスクの 7 柱を横断し、レゴ的合成可能性・TVL・DeFi Summer 以降の発展・2025 年の状況を整理する。
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DeFi(Decentralized Finance / 分散型金融)は、スマートコントラクトによって銀行・証券会社・取引所などの金融仲介機能をコードで置き換える運動であり、Ethereum を主な舞台に 2020 年の「DeFi Summer」以降、急速に生態系を拡大した。本記事は DeFi の全体構造を俯瞰するハブであり、DEX・DEX アグリゲータ・Perpetual DEX・Lending/CDP・ステーブルコイン・利回り戦略・リスクの 7 本柱へのナビゲーションを提供する。情報カットオフ ~2025-08、confidence: medium 固定(2026-06 時点での外部再検証は未実施)。
DeFi の核心概念:コンポーザビリティと TVL
DeFi の最大の特徴はコンポーザビリティ(可組み合わせ性)、通称「マネーレゴ」である。各プロトコルが標準インターフェース(ERC-20・ERC-4626 など)に沿ったスマートコントラクトを公開しており、異なるプロトコルを積み木のように組み合わせて新しい金融商品を構築できる。たとえば、担保を Aave に預けて借り入れたステーブルコインを Curve で運用し、その LP トークンを Convex でブーストするという複合戦略が単一トランザクションで実行可能だ。
**TVL(Total Value Locked)**は DeFi エコシステムの規模を測る主要指標であり、各プロトコルのスマートコントラクトに預けられた資産総額を指す。2020 年初は数億ドル程度だったが、DeFi Summer(2020 年夏)に急増して年末には 20 億ドルを超え、2021 年の強気相場では 1,000 億ドル超に達した。2022 年の Terra/LUNA 崩壊・FTX 破綻を経て大幅に縮小した後、2024〜2025 年にかけて回復局面に入り、2025 年時点では Ethereum エコシステム全体(L1 + L2)で 500〜800 億ドル規模で推移している。
DeFi の主要レイヤーは以下のように整理できる。
| レイヤー | 機能 | 代表プロトコル |
|---|---|---|
| DEX / AMM | スポット取引・流動性提供 | Uniswap, Curve, Balancer |
| DEX アグリゲータ | 最良ルート探索 | 1inch, CoWSwap, Jupiter |
| Perpetual DEX | 無期限先物取引 | Hyperliquid, dYdX, GMX |
| Lending / CDP | 過剰担保貸借・合成資産 | Aave, MakerDAO, Morpho |
| ステーブルコイン | 価格安定資産 | USDT, USDC, DAI, USDe |
| 利回り戦略 | 収益最大化・デリバティブ | Yearn, Convex, Pendle |
| リスク管理 | セキュリティ・制度設計 | — |
DeFi Summer とその後の発展(2020〜2024)
2020 年 6 月に Compound が COMP トークンを流動性マイニング報酬として配布し始めたことが「DeFi Summer」の引き金となった。ユーザーはプロトコルに流動性を提供するだけでガバナンストークンを得られ、年利換算で数十〜数百パーセントの利回りが謳われた。Uniswap の UNI エアドロップ(2020 年 9 月)、SushiSwap の「バンパイアアタック」、Yearn Finance の yVault 戦略など、2020 年後半は革新的プロトコルが次々と登場した。
2021 年には NFT ブームも重なり、エコシステムが多様化。Curve の veトークノミクス・Convex の veCRV 集約による「Curve Wars」が激化し、流動性インセンティブの政治経済学が形成された。2022 年 5 月の Terra/LUNA 崩壊(アルゴリズム型ステーブルコイン UST の死亡螺旋、tech-201 参照)と同年 11 月の FTX 破綻が信頼危機をもたらし、TVL が大幅に縮小した。
2023〜2024 年の回復期には以下の変化が顕著だった。第一に、Perpetual DEX の台頭:オンチェーンデリバティブが中央集権取引所(CEX)に近い取引体験を提供するようになり、Hyperliquid を中心に急成長した。第二に、RWA(Real World Asset)連携の進展:MakerDAO が米国債をオンチェーン担保として組み込み、DAI の安定性と利回りを強化した。第三に、モジュラー化の深化:Morpho のモジュラー貸借プロトコルなど、既存大型プロトコルの機能を特化型に分解する動きが加速した。
2025 年の状況
2025 年時点の DeFi エコシステムは以下の特徴を持つ。
Perpetual DEX の主戦場化:Hyperliquid は独自 L1 チェーン上でオンチェーンオーダーブックを実現し、2025 年の年間出来高は推計 ~3 兆ドル規模に達して Perpetual DEX 市場を席巻した。dYdX・Aster/Lighter/EdgeX などが各 15〜20% のシェアで競合する。
利回り付きステーブルコインの拡大:Ethena の sUSDe(デルタ中立戦略で ETH 運用益を還元)や Sky(旧 MakerDAO)の sUSDS など、保有するだけで利回りを得られるステーブルコインが 2025 年時点で時価総額 200 億ドル超に成長した。
RWA 統合の本格化:USDtb(Ethena の RWA 担保型ステーブルコイン)が BlackRock の BUIDL ファンドと連動する形で登場。DeFi プロトコルとオフチェーン金融資産の境界が曖昧になりつつある。
規制の現実化:2025 年 7 月に米国で署名された GENIUS Act はペイメントステーブルコインの規制枠組みを成立させ、DeFi プロトコルが直接参照するステーブルコインにも波及的な影響をもたらしている。EU の MiCA 完全適用(2024 年 12 月)も合わせて、DeFi プロトコルの設計に規制適合コストが組み込まれる段階に入った。
7 柱への導入
DeFi の各領域はそれぞれ独立した記事で詳述している。
- DEX・AMM(tech-213):定数積 AMM の仕組み、集中流動性(Uniswap v3/v4)、Curve の StableSwap、Balancer の重み付きプール、Solana DEX(Raydium/Orca)。
- DEX アグリゲータ(tech-214):1inch Pathfinder、CoWSwap のバッチオークション・MEV 保護、Jupiter の Solana 集約。
- Perpetual DEX(tech-215):無期限先物の仕組み、Hyperliquid の独自 L1 オーダーブック、GMX の GLP モデル、各プロトコルのアーキテクチャ比較。
- Lending / CDP(tech-216):過剰担保貸借・清算・金利モデル、Aave v3/GHO、MakerDAO→Sky、Morpho Blue、Liquity。
- ステーブルコイン(tech-217):4 分類(オンチェーン担保・オフチェーン担保・合成/デルタ中立・RWA 担保)、アルゴリズム型崩壊の教訓、2025 年の利回り付きステーブル。
- 利回り戦略(tech-218):Yearn/Convex、Pendle の金利デリバティブ(PT/YT)、veTokenomics と Curve Wars。
- リスクと失敗モード(tech-219):インパーマネントロス、MEV、オラクル操作、清算カスケード、ハック史、ブリッジリスク。
Backlinks
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