実物資産のトークン化(RWA)

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Created: 2026-06-07 Updated:

RWA トークン化の全体像。BlackRock BUIDL がトークン化国債の 40% 超(ピーク ~$2.9B)、Ondo OUSG・USDY、トークン化株式(xStocks・Securitize・Backed・Dinari)、不動産・コモディティ。2025 年に機関採用が加速。

実物資産のトークン化(RWA)— 国債・株式・不動産・コモディティ

RWA(Real World Asset / 実物資産)トークン化は、現実世界の金融資産(国債・株式・不動産・コモディティ・私募クレジット)をブロックチェーン上のトークンとして表現する手法である。法的に執行可能な所有権構造をオンチェーン表現と結びつけることで、24/7 取引・小口化・自動決済・DeFi プロトコルとの統合を実現する。2025 年に公開市場で取引される RWA の時価総額は前年比約 3 倍の $16.7B に達し、BlackRock・Franklin Templeton・JPMorgan など伝統的金融機関の本格参入が相次いだ。情報カットオフ ~2025-08、confidence: medium 固定(2026-06 時点での外部再検証は未実施)。

トークン化の仕組みと法的構造

RWA トークン化は技術的・法的な 2 層構造で成立する。

技術層ではスマートコントラクトが「トークン = 権利の行使手段」として機能する。ERC-20(FT)または ERC-3643(転送制限付き ERC-20、証券向け)でトークンを発行し、KYC/AML 済みアドレスにのみ転送を許可するホワイトリスト機能を組み込む。

法的層では発行体が現物資産を自社または信託(Trust・SPV・ファンド)に保有し、トークン保有者との間に法的に執行可能な所有権・受益権・債権の関係を設定する。この法的バインディングが「トークンを保有すること = 資産への権利を持つこと」を保証する。法域によって SPV(Special Purpose Vehicle)・Luxembourg RAIF・Delaware Statutory Trust など様々なビークルが使われる。

オラクル(Chainlink Proof of Reserve 等)が現物資産の保有状況をオンチェーンで検証し、「担保切れ」のリスクを透明化する仕組みも整備されている。

トークン化米国債

2023〜2025 年に最も成長したカテゴリがトークン化米国債(Tokenized US Treasuries)である。高金利環境(2023 年時点の米国短期国債利回り 5% 前後)で、オンチェーンのステーブルコイン保有者が利回りを享受できる手段として急速に普及した。

BlackRock BUIDL

**BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)**は世界最大の資産運用会社 BlackRock が Securitize と協力して 2024 年 3 月に Ethereum 上でローンチしたトークン化マネーマーケットファンドである。設立から数ヶ月でトークン化国債市場における時価総額でトップに立ち、ピーク時には約 2.9Bに達してトークン化国債セグメントの402.9B に達してトークン化国債セグメントの 40% 超を占めた。主要投資家は機関投資家・ファミリーオフィスに限定され、最低投資額は 5M。BUIDL 保有者は Ethena の USDtb(RWA 担保ステーブルコイン)の担保としても BUIDL を使用できる。

Ondo Finance(OUSG・USDY)

Ondo Finance はリテール寄りのトークン化国債を提供するプロトコルである。

OUSG(Ondo US Government Securities Fund)は米国短期国債・国債 ETF を担保とするトークンで、KYC 済みの適格投資家向けに提供。2025 年時点で時価総額は約 $1.6B。Solana・Ethereum・Mantle など複数チェーンでクロスチェーン対応している。

USDY(US Dollar Yield Token)は国債担保の利回り付きステーブルコイン的なポジショニングで、より幅広い投資家層(非 US 個人投資家)に対応。Ouroboros コンパクト証明書を使って保有証明をオンチェーンで提供する。

その他のトークン化国債

  • Franklin Templeton BENJI(Franklin OnChain US Government Money Fund、2021 年):最初期のトークン化政府 MMF の 1 つ。Stellar と Polygon で提供。
  • Superstate(USTB):元 Compound 創設者が立ち上げた機関向けトークン化短期国債 Vault。

トークン化株式

トークン化株式(Tokenized Equity)は上場・非上場株式をトークンとして表現し、24/7 取引・小口化・グローバルアクセスを提供する試みである。規制上の複雑性(証券法・KYC/AML・取引時間規制)から、国債に比べて普及は遅れているが、2024〜2025 年に複数のプレイヤーが本格参入した。

xStocks(Backed Finance 経由)

Backed Finance は株式 ETP(Exchange-Traded Product)をスイスの規制枠組みで実物担保トークンとして発行するプロトコルである。xStocks ブランドで TSLA・AAPL・NVDA・SPY などの株式トークンを Solana・Base 上で提供。KYC 済みユーザーが実物 ETP と 1:1 で交換可能で、オンチェーンで 24/7 取引できる。Synthetix の合成資産とは異なり、実物担保型であることが信頼性の根拠となる。

Securitize

Securitize は証券トークン化のコンプライアンス基盤を提供するプラットフォームで、BUIDL(BlackRock)・KKR ヘルスケアファンド・Hamilton Lane のプライベートクレジットなどの発行管理を担っている。ERC-3643(T-REX プロトコル)の主要実装者の 1 つ。

Dinari

Dinari(旧 dShare)は米国株・ETF のトークン(dShare)を Ethereum・Arbitrum 上で提供する。規制対応を優先し、米国居住者向けに証券ブローカーを経由する構造を取る。

不動産トークン化

不動産のトークン化は、物件を SPV が保有し、SPV の持分権をトークンとして発行することで小口化・流動性向上を実現する。伝統的に不動産投資は数千万〜数億円単位だが、トークン化で $100 単位からの参加が可能になる。

Lofty AI(旧 Roofstock onChain)は米国の賃貸住宅物件をトークン化し、家賃収入のトークン保有者への分配をスマートコントラクトで自動化している。RealT は同様のモデルで欧米の不動産トークンを提供。

課題として、物件の法的所有権移転・地域の不動産法との整合・流動性(二次市場の薄さ)・物件管理(入居者対応・修繕)のオフチェーン依存が挙げられる。不動産トークン化は技術的には可能だが、法域ごとの規制対応コストが高く、大規模採用はまだ限定的である。

コモディティトークン化

金トークン(Tokenized Gold)は最も実績のあるコモディティトークン化の例で、Paxos の PAXG と Tether の XAUT が二大プレイヤーである。PAXG は 1 トークン = 1 Troy oz の金と 1:1 に対応し、Paxos が保管する金地金を裏付けとする。金融危機・インフレヘッジとして世界中の個人投資家が DeFi プロトコルで利用している。

原油・農産物などのトークン化は技術的には可能だが、現物の保管・輸送・品質保証の問題で普及が限定的。大部分はデリバティブ(先物・オプション)のトークン化に留まる。

2025 年の機関採用動向

2025 年の RWA トークン化市場の最大の変化は機関投資家の本格参入である。資金量が大きく、規制対応・KYC・カストディ要件を満たせる機関投資家にとって、トークン化国債は「従来の MMF と同等の法的安全性と利便性を持ちながら、DeFi プロトコルとの統合による運用効率」を提供する。Aave・Morpho などの DeFi Lending プロトコルが BUIDL・OUSG を担保資産として受け入れており、RWA が DeFi の「信用基盤」として機能する段階に入りつつある。規制面では EU の MiCA(2024 年)・米国 GENIUS Act(2025 年)が RWA に関連する枠組みを整備しつつあり、法的確実性が高まることで更なる拡大が期待される。

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